≪なんだろう君≫
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先書き
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<“余計な導入”>
%ナレーション
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とある理由で書いている、とあるテキストの抜粋です。
これがなんなのかは追求しないで下さい(苦笑)
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【蒼司】
「物語を始めるに当たって、まず語り手は、前提
となる条件を提示しなければならない。これは
ルールだ。
まず、僕は上代蒼司。私立橘学園の二年で、絵
を描くことと料理と裁縫と、余計な一言を発す
ること以外に、これといった取り柄のない男子
である。
すでに、この説明が余計な気がしてきてならな
いことを補足しておく。
そして僕の先輩で恋人の白河さやか。彼女の場
合は、なにが取り柄でないかを説明するのが難
しい人格をしている。
端的に言えば掛け値なしの美人だ……これは、
端的にいった場合のみに使える説明でしかない。
彼女を理解しようとは思わない。多分、ミロの
ビーナスだって、腕があったら美しさが損なわ
れるだろう。そもそも追求すること自体が不毛。
つまりその理屈だ。考えてはいけない。
そして上代萌。両親のいない上代家で、僕と2
人暮らしをしている大切な妹だ。
成績優秀で品行方正。家事はどれもプロの腕前
で、日舞や茶道・華道にも通じ、素性を隠せば
どこに出してもお嬢様で通る可憐な容姿をして
いる。
育て方を間違えた覚えはない。
ただ、僕を『兄様』と呼ぶことや、さやか先輩
を敵視していること。時折背筋が震えるような
妖艶な眼差しで僕を見つめることがあることを
考えると、彼女が育ち方を間違えたのだろう。
……萌に関しては、僕に許された発言はこのく
らいだろう。彼女を理解しようとも思わない。
多分、ミロのビーナスだって、突然関西弁で話
し出したら芸術価値がなくなる。妄想はするべ
きではない。それは隙を生むことになる。
余計な発言は墓穴を掘るので止めよう。最近、
ひどく学習したことだ。
さて、前提はこんなものだろうか。
足りないと言えば足りないし、語りすぎだと言
われればその通りだろう。ルールや法律という
ものはそんなものだ。語りすぎることもないし、
足りないこともない。後は臨機応変に対応して
いこう……それが難しいことを承知で。
このまま哲学的な問答に入る気配を見せておい
て、それでは物語をはじめよう。
そう、最後に1つだけルールがある。
自己紹介の時に、最近になって付け加えだした
ものだ。多分、僕が生涯生み出せる最高の表現
だと思って欲しい。この言葉で物語を始めるだ
けで、シリーズ物を作れるかも知れない。
僕こと上代蒼司は、ひどく女運が悪いのだ」
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それは、8月も終わりにかかった頃の――今日
のお昼の、自宅での出来事だった……」
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▼効果音:風鈴の音
▼効果音:あぶら蝉の声単体
%笑顔
【萌】
「兄様、そうめんのお味はいかがですか?」
【蒼司】
「うん。美味しいよ……けど、萌はこのツユの味
じゃあ薄くて物足りないだろう?」
%艶やか
【萌】
「いえ、兄様と同じ物を食べているだけで、お腹
も心も満たされますから」
%流す
【蒼司】
「あ、そう……」
【萌】
「おかわりもありますから。足りなかったら言っ
てくださいね」
【蒼司】
「うん……そういえば、夏休みの宿題は終わって
る萌?」
%恥ずかしげ
【萌】
「あ、その……幾つかお手伝いして頂けるとあり
がたいかと」
【蒼司】
「じゃあ、今日の午後に見てあげるよ。やっぱり
英語が分からないのか?」
%真面目にきっぱり
【萌】
「いえ、保健体育です」
【蒼司】
「…………」
【萌】
「…………」
%蝉の声が目立つ間
%笑顔を維持したまま
【蒼司】
「なにが分からないの?」
%真面目にきっぱり
【萌】
「はい、主に子供の作り方とか」
%遠い目
【蒼司】
「あぁ、そう……それは大変だ」
%真面目
【萌】
「本来は親が子に教えるものでしょうが、好都合
――いえ、あいにくウチには、両親となるべき
人がいませんので」
【蒼司】
「そういうのは、最近は授業で教えてくれるんじゃ
ないかな?」
%真面目に笑顔
【萌】
「授業ではどうにも説明が不明瞭でして。出来れ
ば殿方としての兄様に、詳細に説明して頂けれ
ばと思います」
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<終わっとこう……ね>
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“戻る”
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