≪ミルクココアの夜≫
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「お〜い音夢、宿題見せてくれないか? って、あれ?」
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後書き
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数学のノートを片手に居間を訪れると、当の妹様は広
げた数学の教科書につっぷしていた。
「くぅ……ん…………」
「……寝てる」
珍しい。
ひどく珍しい気がする。
念のために風邪かと顔をのぞきこむが、口を半開きに
して少々よだれを垂らしながら、気持ちよさそうに寝息
をたてていた。バイト帰りで疲れていたのかも知れない。
「運ぶのは面倒だな」
仕方なく2階の自分の部屋に毛布をとりにいって、音
夢の肩からかぶせて額の汗をぬぐう。大変な重労働だっ
た。
「さて……」
音夢の横に腰掛けてノートを滑らせる。
「まだ途中だが、同じ授業を受けているとは思えないな」
几帳面な文字がびっしりと、しかし要点には色とりど
りの蛍光ペンで印がつけられている。時に可愛く動物の
絵なんか描いてあるところが、なんだか女の子のノート
っぽい。
「ん?」
ノートの最後。
さきほどまで音夢の腕で隠れていた部分に、つらつら
と詩が綴ってあった。
「…………むぅ〜」
読みたい。
読みたい。
と言うか、ノートを写しているとイヤでも目に止まり
そうだ。
「…………」
ため息を一つついて音夢のノートを閉じると、俺は頭
をかきながら立ち上がった。なんだかフェアじゃないな。
「ちっ、かったる」
食堂に足を伸ばして牛乳を火にかける。
コトコト。コトコト。
音夢が買い溜めしていたクッキーをひっぱりだし、コ
コアの袋を探し出して牛乳と一緒に猫柄のカップに注ぎ、
居間に引き返す。
「音夢……音夢ってば起きろ。こんなとこで寝てると、
また風邪ひくぞ」
「ほぇ? あれ、兄さんなんで私の部屋に――あれ?」
顔がごろごろと机の上を転がって、ようやく音夢は状
況がつかめたようだ。
「えへへへへ」
「別に笑って誤魔化さんでもいいって。それより、宿題
一緒にやらないか?」
「え?」
目をパチクリとさせると、ほにゃ、っと顔がほころぶ。
「いいよぉ。うわぁ、久しぶり♪」
「変な声だすなよ……」
「なにが?」
自分でも気づいていないような上機嫌で音夢が小首を
かしげる。
「兄さん、どこ分からない?」
「全部だ」
「……全部か〜、それは大変だねぇ」
音夢がシャーペンをこめかみに当てて苦笑する。
「ま、1コずつやってこ♪」
そうやって、深々と夜が更けていく。
ただそれだけの日。
別にオフィシャルじゃないですよ〜(苦笑)
版権物のSSですものコレ。
無性に、特になんでもない日常が書いて見たかっただけです。
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