◆不定期シナリオ◆
あなたのくれた贈り物
〜黒い詩人の涙〜
_
_
人間は丸ってほど単純じゃないわ。
人間は三角形ほど単純じゃないわ。
人間は四角形ほど単純じゃないわ。
五角形、
六角形、
七角形、
・
・
・
なのに、
なぜ?
いつか丸に戻ってしまうのは?
それは人間の愚かさ?
それは人間の汚さ?
それは人間の儚さ?
人は丸ってほど単純じゃないわ――
_
_
_
“序”
_
“一章:最初の2人目の転校生”
_
“二章:最初の2人の転校生”
_
“三章:とても静かで大切な再会”
_
“四章:猫さんを見に行った日”
_
“五章:3月の終わりの三叉路”
_
“幕”「黒い詩人の涙」
_
_
“戻る”_ _
_
_
_
その目は、
着物の赤よりも、
血の赤よりも、
月の赤よりも深い朱色だった。
さて――。
物語というものは往々にして、第一章などと名付けられた時点で、
すでに起きるべき事件というものは起こってしまっている。
つまり問題や失敗を未然に防げる手段は失われているのだ……。
3月の終わり。
教室の中は、とても寂しい寒さだった。
なんとかミチルという替えの歯車を得たとしても、そのズレは決定的だった。
歯車のサイズが近いために、誤魔化し誤魔化し、かろうじて回り続ける時計の針のように――
不安定であり、秒単位のずれが少しずつ大きくなってゆくようで……。
キチキチと耳障りな音がはじまっていた。
「もうすぐ4月ですが、まだ夜になるのが早い。道々気をつけてください」
そして3人は夕暮れの三叉路で別れた。
ただ、その別れが、3人にとっての永遠の別れになるなんて。
社交辞令が本物の警告であったなんて。
誰も思っていなかった……。
「夢、だったのかな……」
「なにが?」
「なんでもない」
夢ではなかったと思う。
しかし現実でもなかった。
彼女は“そういうモノ”なのだろう。
思い出が具現化したようなものなのだ。
だから忘れるまでは大切にする。
そして大切にするには、彼女の心情まで踏み込んではいけない……。
_