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 ≪今年の夏も暑かった≫

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    ミズキは三冊目のファッション雑誌を読
   んでいた。
   「夏休みの宿題が半分も残っているの」
    二時間前にそう告げた彼女は、まだ店内
   に居座っている。冷房の効いた本屋で私が
   バイトをしているため、同じ高校に通って
   いるミズキはよく涼みに来る。
    後三日で二十五になる店長も、彼女に気
   があるらしく立ち読みを黙認していた。

   「これください」
    レジの前に立ったミズキは少女漫画を手
   に、はにかんだ笑みを浮かべていた。
   「帰るの嫌だなぁ……今時、部屋に扇風機
   しかないのよ?」
   「どこの家もそうですって――四百十円で
   す」
    ミズキが財布を出しながら続ける。
   「それにね、ちょっと寝っころがってたら、
   母さんが『いい年してみっともない』だっ
   て。別に誰も見てないってのに――あっ、
   お釣りいらないから後でジュースでも買っ
   て」
    太っ腹なミズキから五百円玉を受けとる。
   そんな彼女は無地のティーシャツに薄い黄
   色のミニスカート――寝っころがっていれ
   ば、さぞみっともない服装だ。
   「夏休みの宿題は終わりそうですか?」
   「ぜーんぜん駄目。そうよ。小学校の頃か
   ら思ってたんだけど、あれって一種の拷問
   よね? 正月に書初めとかもやらされたし」
   「早朝のラジオ体操とか」
   「そうそう」
    そこで言葉を切ると、ミズキは店内に飾
   られた木彫りの時計を凝視する。
   「やだ、もう六時。早く帰らないと終わん
   ない」
    まったくあせった感じもなく呟く。
   「私、帰るね」
    手を振ってミズキは帰ってしまった。
   「……ありがとうございました」
    私は自動ドアに頭を下げた。

   「彼女、帰ったの?」
    店長が奥から顔を出す。私は口を開かず
   頷いた。
    彼は天井を見上げて呟く。
   「明後日からは夏休みだからなぁ。ミズキ
    先生も大変だ」

  了

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    どうも両極端な意見を聞くこととなった文章。
    どちらにせよ、一番、御影らしい内容らしい。
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